私が住む町の農業用道路の無駄を見てほしい。 長野県諏訪郡富士見町。八ヶ岳を源とする立場川が町の真ん中を下っていて、いま新しい橋が架けられようとしている。農林水産省系の補助金を使った県の農業振興事業だ。標高千bを超える高原だから川というより幅広の谷。その谷底に巨大なコンクリート製の橋台が9本も並び、いよいよ橋桁を乗せる段階で工事が止まった。田中康夫知事がストップをかけた。 隣村で知事を囲む車座集会が開かれて、有線テレビに流れたのを、たまたま見た。新しい県道と橋は必要なのか、が討論されていた。 賛成派農民は「いまある道路はカーブがきつくてトラックの野菜が傷む。だから直線道路が必要だ」と言った。 新しい橋ができれば渡るのに10秒とかかるまい。でも現存の、谷底に下りてまた上る舗装道路を使ってゆっくり走っても3、4分だ。谷底から白い巨大な羊羹を縦に立てたように天に突き出ている橋台は、1本1億円もすることが車座集会で話題になった。 9本で9億円、3、4分短縮のため9億円!。ケアタウン老健に使われるスペシャルサービスの実に9年分である。この道路は茅野市から原村、富士見町を通って小淵沢で終わる。総工費は数十億円だが、住民の生き死に関わる大切な道路だとは到底思えない。こんな無駄は日本のあちこちで見られることだろう。 高齢者介護にカネが回らないのは、日本が貧乏だからではない。カネの使い道を間違っているだけの話なのである。 バブルに踊って経営が左前になった銀行の救済には、われらの血税18兆円もが使われたという。18兆円でホームヘルパーが何人雇えるか。年に1億円あれば常勤のホームヘルパーを20人以上も雇える。1兆円なら20万人以上、2兆円なら40万人以上。40万人以上なら北欧並みだ。 つまり不良銀行救済に消えた18兆円で、北欧並みの厚いホームヘルパーの体制を、9年も持続することができるのである。 |
景観破壊 | |
日本は公共事業に
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